市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年(平成7年)5月18日に安中市土地開発公社で密かに発覚した我が国の地方自治体では空前の巨額詐欺横領事件。くしくも同じ年に発足した市民オンブズマン群馬のメンバーとして、行政の不正に敢然と立ち向かってきた活動の履歴。

渋川市が新庁舎整備計画!・・・すわっ!桐生市新庁舎建設工事官製談合の悪夢再現か?

↑ホクブによる渋川駅前工事。出典:ホクブHP https://www.hokubu-k.co.jp/

 

■8月31日に投開票が行われた渋川市長選では、無所属新人で前自民党県議の星名建市氏(68)(自民、公明推薦)が、「オール渋川、チーム渋川で市政を運営する」と語り、市民に市政の安定を訴えて、無所属新人で前副市長の伊勢久美子氏(56)を破り、初当選を果たしました。あれから1カ月余り。星名新市長は、さっそく市役所の新築工事推進を表明しました。

 

**********上毛新聞2025年10月8日06:00

建設から59年の群馬・渋川市役所本庁舎 建て替えに向け計画策定へ 星名市長が市議会で答弁

 建設から59年がたち一部が耐震基準を満たしていない群馬県渋川市役所本庁舎について、星名建市市長は7日の市議会一般質問で「市民の安全、安心を守る防災拠点としての新庁舎の必要性は高い」と述べ、建て替えに向けた検討を進める考えを明らかにした。

 星名市長は「今後、新庁舎の位置、規模、整備手法、整備スケジュールなどを具体化する新庁舎整備にかかる計画の策定を早急に進めたい」と答弁した。

 財源として2024年度末で約10億5千万円ある庁舎建設基金、約36億8千万円ある地域振興基金の活用を想定していることを説明。他の老朽化した公共施設についても「検討していく必要がある」とし、新庁舎を含む公共施設の全体的な再編方針と工程表を作って進める考えを示した。

 本庁舎は1966年建設。市長室や市議会などが入る東側の建物が耐震基準を満たしていない。市は2016年度に整備基本方針を策定し、庁内の検討委員会で方向性を議論。20年12月に高木勉前市長が国や県などの拠点を合わせた複合施設としての整備を検討する方向性を示したが、その後、具体的な建設計画は持ち上がっていなかった。

 星名市長は初当選した8月の市長選で、本庁舎を含む老朽化した公共施設の在り方を「あらゆる視点で検討し、しっかりと計画を立てたうえで方向性を出すべきだ」としていた。(入山亘)

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渋川市役所↑

 

■近年、群馬県内では役所の庁舎建設ラッシュが続いています。3年前の業界紙の報道記事を見てみましょう。

 

*********群馬建設新聞2022年08月18日

県内庁舎建設まとめ 8市町村で庁舎建設

 県内市町村の庁舎が老朽化を見せる中、各自治体で新たな庁舎建設に向けた動きが活発化している。市町村のうち、進捗があるのは◇桐生市渋川市安中市大泉町上野村◇高山村◇川場村◇昭和村――の8市町村。このうち、安中市大泉町は基本計画策定に向けて作業中。また、渋川市上野村では建て替えの方針が決まり、検討を推進。高山村では建て替えを含む老朽化対策を協議しており、22年度中に方針を示す考え。

桐生市

 新庁舎整備に向けた建設工事を7月28日に一般競争入札で公告、10月19日の開札を予定している。代表者を建築1300点以上とする3~4者JVでの構成となる。敷地面積1万4302㎡で建設。基本設計でS造およびRC造5階建て、延べ床面積約1万1600㎡。ZEBReady、CASBEEの認証取得を目指し、環境配慮型の庁舎として整備する。工事費計74億8000万円については6月補正予算および2022~24年度の継続費で確保。基本・実施設計業務および庁舎発注支援業務は久米設計(東京都江東区)が担当した。

渋川市

 老朽化から建て替えを計画する市役所庁舎および第二庁舎について、ハローワーク渋川や県合同庁舎などとともに複合施設としての整備を目指す考えを示しており、PFI方式の採用も視野に入れている。現在、建て替えに向けた庁舎建設基金の積み立てを行っており、合併特例債の活用についても検討を進めていく。22年度は16年度に制定された新庁舎整備基本方針の改定を進めているところで、23年度中に策定を行う見通しを示している。

安中市

 既存庁舎を生かした機能的で「シンプル・コンパクト」なSDGs型庁舎を大きなコンセプトとして基本構想を策定。安中高校跡地に建設する方針。延べ床面積8000㎡以下を目指すほか、安中体育館および格技場の解体は行わない方針を示している。基本構想で掲げていた防災学習スペースや多目的スペースなどは設置せず、延べ床面積の縮減を目指す。スケジュールでは、基本計画策定および基本設計を23年3月に完了させるほか、23年4月から実施設計に着手するとした。また、旧安中高校の校舎解体工事を23年11月、庁舎建設工事を24年7月から26年3月までの期間としている。

大泉町

 建設地は庁舎北側に位置する三洋電機運動場および駐車場。6月議会で用地取得の議案が議決となり、土地引き渡しは12月中を予定している。建設に向けて公募型プロポーザルにより、庁舎建設基本計画策定支援業務を桂設計(東京都新宿区)に委託。具体的な課題や必要な機能、配置、概算事業費などの検討を行う。現段階の建設スケジュールは2022年度中に基本計画を策定し、同年度から23年度に基本設計および実施設計、23年度中に建設工事へ着手し、25年度の完成を目指すとしている。また、新庁舎へ引っ越しが完了した後に外構工事および現庁舎の解体工事に着手する考え。

上野村

 7月に行われた第2回役場庁舎検討委員会の中で、建て替える方針を決めている。3回目の委員会は9月中の開催を予定している。

【高山村】

 現庁舎は老朽化が著しいほか、19年度に村が作成したハザードマップで浸水想定区域内に位置しているため、何らかの対策が必要とされている。これまでの検討から◇現庁舎の大規模改修◇移転(既存施設への機能集約)◇現在地での新築◇新たな場所への新築の4案を選考。現段階では、具体的な事業スケジュールなどの見通しは立っておらず、22年度内にいずれかの方針を示す考え。

川場村

 新拠点構想推進事業として、役場庁舎などの第1工区と産学連携施設を検討する第2工区に分けて実施する。22年度は第1工区に着手。役場庁舎およびエネルギーセンターの建設、電気一式、機械設備一式および外構工事を一括して関東建設工業・萬屋建設・角屋工業JVが担当している。また、村の学習館を沼田土建(沼田市)が、交流ホールを関工務所(川場村)がそれぞれ請け負う。役場庁舎はW造一部S造2階建て、延べ床面積約2500㎡。また、エネルギーセンターはRC造2階建て、延べ床面積約360㎡となる。

【昭和村】

 建築を沼田土建・石坂建設JV、電気・機械設備を藤田エンジニアリング・加藤エンジニアJVでそれぞれ担当。建物はS造4階建て、延べ床面積2752・9㎡の規模。22年10月末までの工期で建設工事を進め、23年度に既存庁舎解体などに取り組む。

↑在りし日の旧安中高校公舎と校庭↑

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■このうち、桐生市役所新庁舎建設は、当初令和4年度末時点では約94億6,000万円でしたが、令和6年6月時点では約7億円増額され、約101億6,000万円となりました。

 

 ところが、ご存知のとおり、この新庁舎建設工事の入札を巡り、特定のJV=共同企業体が落札できるよう便宜を図り公正な入札を妨害したとして、令和7年6月19日に、群馬県議会議員など4人が埼玉県警と群馬県警の合同捜査本部に逮捕されました。

 

 さらにその後、桐生市役所新庁舎建設を巡り、基本設計の入札に参加した業者に秘密事項を漏らし、見返りに商品券を受け取ったとして、埼玉、群馬両県警の合同捜査本部が令和7年7月24日、官製談合防止法違反と加重収賄の疑いで、前副市長の森山享大(たかひろ)容疑者(52)=桐生市=を逮捕、同法違反とあっせん収賄の疑いで、桐生市区選出の県議の相沢崇文容疑者(49)=桐生市東、自民党を離党、公競売入札妨害の罪で起訴=を再逮捕し、県政を揺るがしたこの事件は現職県議や前副市長が絡む収賄事件に発展しました。

 

 このように市役所建替え工事と言うと、「関東建設工業」の名前が浮かんできます。

 

■ところで、渋川市にはホクブ株式会社という老舗の土建会社があります。同社はかつて北部土建工業株式会社という社名でしたが、平成29年4月からホクブ株式会社に社名変更しました。そして、令和3年(2021年)4月1日から、関東一円で建築・土木事業を展開する関東建設工業のグループ傘下に入りました。

 

 関東建設工業の専務取締役でもある松島輝樹氏となっており、ホクブ株式会社の重要性が伺えます。また身売り前、ホクブの社長だった須田誠一氏は、現在もホクブ株式会社に残り、いわゆる「雇われ会長」としてその培った人脈を駆使して活動をしているとの巷間情報です。

 

■さて、前述の群馬県内の自治体における最近の一連の新庁舎建設工事ですが、桐生市新庁舎と大泉町新庁舎は、いずれも関東建設工業がJVで受注しました。

 

 ちなみに、桐生市新本庁舎建設工事の入札は令和4年10月21日に、総合評価落札方式による条件付き一般競争入札(事後審査方式)により行われ、関東・吉田・桐生・野村桐生市新本庁舎建設工事JV(特定建設工事共同企業体)が62億4723万2400円で落札し、令和4年12月21日に契約が締結され、金額:68億7195万5640円(税込み)、工期:令和4年12月22日から令和6年10月31日までとなっていました。

 

 また、大泉町の新庁舎建設工事は、関東・河本・石川・本田大泉町庁舎特定建設工事共同企業体が受注しました。この共同企業体は、令和6年7月の大泉町議会臨時会の議決を経て、正式に請負契約を締結しました。契約金額は68億8600万円で、工期は令和6年7月下旬から令和8年1月30日までの予定で

 

 一方、安中市新庁舎建設工事の入札は2024年8月1日に一般競争方式で執行され、佐田建設株式会社が落札しました。落札金額は49億8900万円で、予定価格49億9562万円とほぼ等しい額となっており、入札には佐田建設株式会社のほかに、池下工業株式会社、関東建設工業株式会社、タルヤ建設株式会社がいずれもJVでなく単体で参加しましたが、佐田建設以外の3者は、土壇場でいずれも辞退しました。この結果、実質的には単独入札となりました。請負契約については、令和6年第1回市議会臨時会において可決され、令和6年8月23日付けで正式に契約を締結しました。契約金額は54億8790万円(うち消費税等の額4億9890万円)、履行期間は令和6年8月23日から令和8年3月15日までの予定となっています。

 

■このように、県内の役所の庁舎建て替え工事といえば、関東建設工業の名が必ずといって付きまといます。まして、渋川市を拠点とするホクブは、今や関東建設工業グループの一員ですから、必ず、計画次点から水面下で暗躍することは、桐生市新庁舎建設工事で証明済みです。

 

 したがって、今後の渋川市役所の庁舎整備計画の推移については、十分な監視が必要であることは言うまでもありません。

 

 そのためにも、桐生市の二の舞を演じることのないよう、以下に桐生市で起きた入札妨害(官製談合)事件に関する逮捕劇を伝えるYouTube動画をご覧ください。

 

**********テレ玉NEWS 2025年06月19日

https://youtu.be/XGsCAVN6xRs?si=XNfGQ8ChABdVcJ6w

入札妨害疑い 群馬県議ら4人逮捕/埼玉県

 群馬県桐生市役所の新庁舎建設工事に関する一般競争入札で公正な競争を妨げたとして、群馬県議会議員の男ら4人が逮捕されました。

 また、上尾警察署に捜査本部を設置して調べを進めています。

 公競売入札妨害の疑いで逮捕されたのは群馬県桐生市県議会議員相沢崇文容疑者(49)と群馬県伊勢崎市の関東建設工業営業部長石原秀光容疑者(75)ら4人です。

 4人はほかの人物と共謀して2022年6月中旬以降、桐生市の新庁舎建設工事の入札に際し、関東建設工業を代表者とする共同企業体側の意見や要望を反映した入札公告案を作成するなどしました。

 その上で、2022年10月19日、この共同企業体に落札させ、入札の公正を害した疑いがもたれています。

 県警は捜査に支障があるとして4人の認否を明らかにしていません。

 警察によりますと落札額はおよそ62億4700万円ということです。

 桐生市の新しい本庁舎は去年11月に完成し、ことし1月から業務を開始しています。

 県警は群馬県警と合同で93人体制の捜査本部を設置し、全容解明に向けて調べています。

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■この問題で、は群馬県山本一太知事が、建設業者からの献金を返還する事態にまで発展しました。一体、どこまで甘い献金が広がっているのでしょうか?

 

**********上毛新聞記事2025年7月10日16:38

https://www.jomo-news.co.jp/articles/-/717150

【速報】群馬・桐生市の入札妨害事件を受けて山本一太知事 関東建設工業、グンエイからの個人献金など計86万円返還 「道義的に判断」

 群馬県桐生市の入札妨害事件を受け、山本一太知事は10日の定例会見で、幹部が逮捕された関東建設工業、グンエイ(ともに太田市)の代表者らから過去に受けていた個人献金政治資金パーティー券の収入計86万円を返還すると発表した。返還対象は桐生市役所新庁舎建設の入札が行われた2022年度以降の収入。これらの収入に違法性は一切ないとした上で「道義的な観点から返還するのが適切と判断した」と説明した。

 自身が代表を務める政治資金管理団体政治資金収支報告書を確認したところ、個人献金は、関東建設とグンエイの両社長から24年度までの3年間にそれぞれ年10万円を受けていたと説明した。このほかグンエイからは3年間で計26万円分のパーティー券を購入してもらっていたとした。

 山本知事は「企業献金を悪だとは考えていない。しかし政治家は疑念を持たれること自体を避けなければならない」と述べた。群馬県として7月1日から2026年6月末までの12カ月間、関東建設工業とグンエイを指名停止措置にしており、「かなり重い措置をしている企業のトップから献金をもらうことは適切ではないと判断した」と説明した。

 事件を巡っては、相沢崇文県議のほか関東建設工業の営業部長とグンエイ役員の計3人が起訴された。

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 桐生市新庁舎の入札妨害事件では、令和7年7月24日に加重収賄官製談合防止法違反の容疑で副市長が逮捕され、その後起訴されました。そして同10月8日に初公判がさいたま地裁(佐伯恒治裁判長)で開かれ、被告の前副市長は起訴内容を認め、検察側は「公益上重要な秘密情報を金銭的な対価で売り買いしたようなもので、市政への信頼を失墜させた」として、懲役1年6月、追徴金10万円を求めて即日結審しました。判決は11月25日に言い渡される予定です。

 

桐生市の前副市長の森山享大(たかひろ)被告↑

 

 ゆめゆめ、桐生市での悪夢が渋川市でも現実のものとならないよう、当会としてもしっかりと監視してゆく所存です。

 

■その前に、安中市新庁舎についても、上述のとおり、誰が見ても不可思議なかたちで、入札が執行されており、こちらのほうも、目が離せません。安中市では、当初、地元業者の参入を前提にJVでの応札形式が模索されていましたが、「合併債の期限」を理由に、いつのまにか、単体での入札に切り替わり、しかも、関東建設工業など3社が「納期的に困難」だとか「予定価格内では施工が困難」として入札直前にいずれも辞退し、佐田建設のみ応札して、限りなく予定価格に近い金額で落札しました。

 

西毛地区の唯一の残土受入れ場所である㈱岡田工務店の関連会社の有限会社岡田興業のサイト。出典:岡田工務店HP↑

 

 しかも、その後、基礎工事で排出された4000㎥の残土を、当初は高崎市箕郷町にある株式会社岡田工務店に搬入する予定で積算していたところ、佐田建設では急遽、安中市内のサイボウ環境の一般廃棄物最終処分場の覆土用として受け入れることにしたり、安中市が庁舎内の備品類を取りやめたりしており、これらのコスト削減がどのように安中市に還元されるのか否かについて、当会は注視しているところです。

 

 さらに、明日10月14日には、安中市議会臨時会が開催され、新庁舎に追加の太陽光パネルの設置など、4千万円を超える補正予算の承認が予定されるなど、不穏な動きが続いています。

 

渋川市では、10年前の平成27年1月、当時の副市長が、公民館の電気設備工事の予定価格を電話で業者に伝え、同2月に7600万円で落札させ、現金と商品券計約15万円を収受し、同5月には、給食調理場の電気設備工事の最低制限価格約1億3850万円を漏らし落札させたとして、加重収賄などの罪に問われ、平成27年2月18日に逮捕された事件が起きました。

 

平成26年10月29日に福島県本宮市の中野副市長(左)が渋川市を訪れ、飯塚副市長(右)にゆるキャラを贈呈↑

 

 その結果、同市の元副市長と、贈賄などの罪に問われた前橋市の電気設備工事会社元社長の判決公判が平成27年7月7日、前橋地裁で開かれ、高山光明裁判長は元市長に懲役2年6月、執行猶予4年、追徴金15万円(求刑懲役2年6月、追徴金15万円)、元社長に懲役1年6月、執行猶予3年(同懲役1年6月)を言い渡しました。

 

 高山裁判長は量刑理由について「(2人は)15万円相当の金品という少なくない額の贈収賄行為で、公務の公正や信頼を大きく損ねた」とし、元副市長に対しては「職務の清廉性が強く求められる公務員と特定の業者との癒着が許されるはずがなく、強く非難されなければならない」と指摘しました。

 

■最近、群馬県内では官製談合事件が立て続けに起きており、とりわけ、金額の大きな庁舎建替え工事は、談合の温床に利用されやすい公共工事の一つと言えます。

 

 当会は、関東建設工業が傘下のグループ会社の拠点を有する渋川市における庁舎建替え事業の推移を今後、注視してまいる所存です。

 

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】